●7年間の軌跡を描く 大島啓くんの個展
楽しそうに絵を描く大島くんダウン症の大島啓君(14)の個展「たくまざる軌跡」が19日から柏のギャラリー生光で開かれる。
 タイトルの「たくまざる(巧まざる)」は、何の作為も用いず、心が感じ取ったものをそのまま表現したという意味。大きな樹を見た直後に一気に描きあげた「樹」は、ダイナミックなタッチで画面一杯に生命力があふれている。大島君の心は樹の形より巨樹の持つ生命そのものをとらえたのかも知れない。
 大島君が坂幸子さんの主催する「アトリエ学林」に通い始めたのは7年前、その間、一度も休まなかったという。「絵を描くことで自己表現が十分に出来たという満足感があるのでしょうか、描き終えた後はすっきりした顔になります」と母親の千代美さんは話す。
 「絵の技法を教えるのではなく、子どもの成長のエネルギーに正面から向かい合ってやることが大切。そうすることで、子どもは絵の表現力を自ら身に付けていく。それは障害のある無しに関係ないこと」と坂さんは話す。
 「魂の安らぎと享楽が感じられる」と評された大島君の7年間の軌跡を描いた38枚の絵は、今の時代に生き難さを感じている人の励みになるかもしれない。
▼開催期間=7月19日から24日、11時から19時(最終日は16時まで)。
▼会場=生光。北柏駅南口徒歩2分、小名子耳鼻科前。
▼問い合わせTEL:04〜7134〜8358大島さん。